[大弦小弦]パンの耳使ったビール造りへの挑戦

其(その)味(あじ)至(いた)って苦けれど胸膈(きょうかく)を開く為(ため)に妙なり-。欧米人の生活文化について、福沢諭吉が書いたとされる『西洋衣食住』(1867年)にビールに関する一節がある。「味は非常に苦いが(飲む人の)心を開く」という、いわばビールのススメ。福沢自身も愛飲したという ▼そのビール、起源は5000年前にさかのぼる。メソポタミアでは粘土板に、エジプトでは壁画に、当時のビール造りが描かれた。麦芽からパンを焼き、水に浸して発酵させる、今とは少し変わった造り ▼そんな人類とビールの出会いをたどるような試みがオリオンビール名護工場で始まっている。原料はパンの耳。食品廃棄を少しでも減らしたいオキコ社からの提案が未知への挑戦につながっている ▼オリオン開発担当の大城敬一郎さん(41)によると、パンのバターや塩分由来の好ましくない匂いや味を抑え、かつパンの風味をどう残すかが課題 ▼試作品をいただく。こんがりとしたロースト香と、コクのある苦みに思わずにんまり。「ビールはね笑顔が一番似合う飲み物なんだよ」。石川雅之さんの人気漫画『もやしもん』の一コマが浮かぶ ▼コロナ禍が私たちを侵食している。「自粛」の連呼に、意識することもなかった自由を思う。心まで侵されてはなるまい。こよいは家飲み、笑顔で乾杯。(粟国雄一郎) ウェブサイトへ Facebook で「いいね」を押すと、似たようなストーリーをご覧いただけます サイトの全体的な評価をお聞かせください:

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